もう一度観たいあの映画 VOL.19 『恐怖に襲われた街』
出演:ジャン=ポール・ベルモンド
【STORY】
何者かに執拗に電話で脅迫されていた一人の女性が、パリの高層マンションから転落死した。パリ警察のルテリエ警部はこの事件の捜査を任されることになる。捜査中、第2の犠牲者のマンションで犯人と出くわし追い詰めるが、もう少しのところで逃げられてしまう。
やがて、ミノスと名乗る男から挑戦状ともいえる連続殺人を予告する電話が、ルテリエのもとにかかってくる。ルテリエは次の標的と目される看護士のエレーヌの警備にあたるが、ミノスの罠にはまりエレーヌは殺されてしまう。しかし、この事件でルテリエはミノスの意外な正体をつかむことになる。そして、ルテリエは次の標的がポルノ女優のパメラ・スイートであることを突きとめ、彼女の住む高層マンションに向かうが…。
【REVIEW】
ジャン=ポール・ベルモンド、1933年生まれの、御年87歳(2020年現在)。スティーヴ・マックイーン、クリント・イーストウッドとほぼ同世代になります。 ジャン=ポール・ベルモンドの主演作は、ヌーベルバーク時代のジャン=リュック・ゴダール監督の「勝手にしやがれ」「気狂いピエロ」が有名ですが、ベルモンド映画の神髄と言えば、やはり生身のアクションとコメディにあります。 本作は、コメディなしのハードボイルドなアクション映画、そして数々のスタントをベルモンドが自ら演じてると言われています。
まずは、急傾斜している屋根の上での犯人との銃撃戦。ベルモンドは犯人を追いかける途中、なんども屋根から滑り落ちそうになります。そして、すんでのところで持ちこたえる…ハラハラドキドキで驚きのシーンが何度も出てきます。もちろんCGがない時代、映像も合成されていないので、本物のスタントだと思われます。
パリの地下鉄の屋根の上を這うシーン。電車がホームからトンネルに入るときは腹ばいになってもすれすれな感じです。このシーン見覚えが…そうです、「ハンター」でスティーヴ・マックイーンもシカゴの地下鉄の屋根に上っています。「ハンター」は「恐怖に襲われる街」の5年後の作品なので、ベルモンドに対するオマージュなのでしょうか。
お次はヘリコプターに吊るされて、高層マンションの一室に窓から突入するクライマックスシーン。マンションの壁を何度もキックして、その反動でロープを揺らし、窓を蹴って突入―、「ミッション:インポッシブル」シリーズでトム・クルーズも挑戦しているシーンですね。トム・クルーズもベルモンドの影響を受けているのでしょうか。
1作品の中で、俳優自らがこれだけのスタントに挑戦するのは、現代ではとても許されません。おそらく全てのスタントは、時間をかけて作り上げた生身のスタント、どれも見応えありです。
こちらは列車強盗をめぐるドタバタ劇、コメディです。
◇『大頭脳』
アラン・ドロン共演の1930年代を舞台にしたギャングもの。
◇『ボルサリーノ』
ジャン=リュック・ゴダール監督、ベルリン国際映画祭で監督賞を受賞しています。
◇『勝手にしやがれ』
もう一度観たいあの映画 VOL.19 『恐怖に襲われた街』
a film by Henri Verneuil (C) 1975 STUDIOCANAL - Nicolas Lebovici - Inficor - Tous Droits Réservés